アラメの腰湯

ママ

ハカセ、今日はアラメの腰湯の効能についてご教授いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

ハカセ

フムフム、アラメというのは海藻のアラメのことじゃな?
海が荒れた次の日には大量に浜に打ち上げられるような身近な海藻じゃ。

ママ

さすがハカセ、よくご存じですね。
大正から昭和にかけてのロングセラー書籍「実践的看護の秘訣」のなかにアラメの腰湯はいろいろな婦人病に効果があると記されています。これはどのような理由によるものでしょうか?

ハカセ

アラメの腰湯とは面白い記事を見つけたもんじゃな。
まず、一般的に言って海藻にはミネラルが豊富に含まれておる。加えてヌルヌルとした成分が皮膚を保湿する作用があるため、風呂に入れると冷え予防に効果を現すのじゃよ。

ママ

たしかに海藻にはミネラルが豊富に含まれていますね。でも、ミネラルとヌルヌル成分で保湿、冷え予防ということは初めて聞きました。

ハカセ

風呂の湯にミネラルが溶け込んで塩類になり、皮膚のたんぱく質と結びついて膜を作るため体の熱の放散が抑制されて湯冷めをしにくくなると考えられておるのじゃ。

ママ

海藻のミネラル成分がお湯に溶け込み湯冷めしにくい・・・まるで温泉のようですね。

ハカセ

そのとおり。昔は米のとぎ汁も使ったものじゃよ。米のとぎ汁にもさまざまのビタミンやミネラル、油分が含まれているため肌の保湿効果が期待できる。
牛乳風呂も同じ理由じゃ。しかし牛乳風呂は値段が高くつくじゃろ。その点で浜に打ち上げられた海藻を利用した海藻風呂は理にかなっておるな。

ママ

最初に始めた人は、浜で拾った海藻を何かに利用できないかと考えてお風呂に入れてみたところ肌がしっとりする、なんだか体も温まるということに気づいたのでしょうか。

ハカセ

そうかもしれんな。

ママ

春の海辺に出かけて、海藻を拾って自宅のお風呂で試してみたくなりました!!…けど、給湯器への影響が心配ですし、浜辺での漁業権の問題もあると思いますから気軽に海藻を拾ってくることも難しいかもしれませんね。

ハカセ

海にまつわる治療と言えば、昔はアトピー性皮膚炎や皮膚の病気に海水治療というものも行われていたな。海水浴ができない季節、地域では家庭のお風呂ににがりを入れたもんじゃ。にがりはお風呂に入れても有効であるが、日本酒に少々入れるとこれがまた誠によろしい。安いお酒が高級なお酒に負けないくらい美味になるからお得なものさ( ̄∇ ̄😉ハーッハッハ。

ママ

話がそれてしまいましたので戻しますけれども、塩類が入ったお風呂は湯冷めをしにくくなると。

ハカセ

一つの例として、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムを入れた風呂は実験的に温浴効果が確かめられている。淡水の風呂に入った時と比べてマグネシウム硫酸塩が入った風呂は入浴後の皮膚表面温度と末梢血流量が有意に高かったことが確認されておる。
血行が促進されると局所の筋肉のこわばりが解消され、痛みの物質が流されるため痛みも緩和される。

ママ

生理期間中はおなかを冷やさないようにとよく言われますが、そのような理由があるのですね。

ハカセ

戦前は一般家庭でお風呂がついている住宅は少なかったからのう、たらいに湯を張って腰湯でおなかの冷えをとることは庶民の素晴らしい知恵じゃな。

ママ

ホカホカパンツや携帯用のカイロなどおなかを温めるさまざまな便利なグッズがなかった時代には、腰湯はとても身近なセルフメディケーションだったのでしょうね。
大変勉強になりました。ありがとうございました。