男性にも更年期があることを知ってほしい
前回、厚生労働省による更年期症状・障害に関する意識調査の結果より、更年期症状に対する女性の視点での意識を確認しました。では男性から見た更年期の意識はどうでしょうか。
更年期障害は「40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群」と定義されています。更年期障害は女性特有のものと捉えられていた時期もありましたが、近年では男性でも起こり得ることが知られるようになってきました。
しかし男性の場合は、女性の場合と異なり男性ホルモンの減少が緩やかなため老化現象の一部と捉えられて気づかれにくい傾向があるようです。
調査では、男性ではすべての年代で「女性ホルモンや男性ホルモンの減少が健康に影響を与えること」や「男性にも更年期にまつわる不調があること」を良く知っている割合は10%程度にとどまっています
女性の更年期の好発年齢がある程度決まっているのに対して、男性の更年期は時期がはっきり決まっておらず、30~80歳代までいつでも発症する可能性があります。「なんとなく不調」「ぐっすり眠れない」「イライラする」「疲れやすい」「ほてりや発汗」などの症状があれば男性更年期の可能性があると考えられます。
そのほかの身体症状として「筋力低下」「内臓脂肪が増える」「頭痛」「めまい」「頻尿」「性機能低下」、精神症状として「意欲が低下した」「不安」「憂うつ」などが目安となります。
男性の更年期障害については、まだ認知度は低いため男性自身がこの病気に気づきにくい場合が多いようです。また女性の更年期と異なり、終わりがはっきりしないため放っておいてもなかなか回復しない場合があります。
家族やパートナーが気づいてあげることも必要ではないかと思います。「疲れているみたい」「笑顔が減ってきた」などの気になる体調変化があれば、男性更年期の症状の可能性があることを助言してあげるとよいのではないでしょうか。
男性にも女性にも更年期に不調が現れることについて理解を深め、生活習慣の見直しを行いましょう。家族やパートナーと話し合い、知識を共有しましょう。バランスの良い食事、筋トレやウォーキングなどの運動、夜はしっかり熟睡、ストレスを溜めない、家族や趣味仲間との楽しい時間を作ること、などが症状の回復に役立ちます。症状が辛い時はかかりつけ医、泌尿器科、メンズヘルス外来などに相談してみましょう。