お腹の真ん中へそ(臍)にまつわるお話
お腹の真ん中に鎮座するのはへそ(臍)ですが、ご存知の通り、へそは母親と胎児がつながっていた証です。妊娠すると子宮に胎盤が形成され、お母さんから赤ちゃんへ酸素や栄養が送られます。胎盤から伸びているへその緒は、母と子をつなぐ命綱です。お腹の中では、へその緒を通して必要なものが送られ、老廃物や二酸化炭素などのいらないものは母親に送り返されます。無償の愛はすでに始まっているのです。
赤ちゃんが生まれると、へその緒は不要になるため切りとりますが、少しだけ残ったへその緒は自然に取れてしまいます。これを皆さんは桐の箱に入れて大切に保管しているわけです。そして、へその緒がとれたあとがへそです。大人になると、へその役割はなくなりますが、へそはとてもデリケートで、へその周りには東洋医学のツボがたくさんあります。
【胎盤と漢方】
プラセンタとは胎盤のことです。胎盤は妊娠した時にできる特別な器官です。中医学(中国の伝統的な医学)では、「紫河車」(シカシャ)と言う名前で、ヒトの胎盤を生薬として用いてきました。疲労回復、更年期障害、アンチエイジングなどで現在でも使用されています。気・血・精神におだやかな効果を示し、長く服用できる生薬だそうです。しかしながら、効果のほどは経験不足でよくわかりません。気になる方は専門の医師・薬剤師にご相談ください。
そして臍帯血はへその緒と胎盤の中にある血液のことです。臍帯血の中には、赤血球・白血球・血小板など血液を造る造血幹細胞がたくさん含まれています。臍帯血は、白血病や再生不良性貧血など重い血液疾患の患者さんの治療に使用されています。病気で困っている方のために役立つのはすばらしいことです。
参考:胎盤(よくわかる用語辞典):日本財団法人母子衛生研究所
赤ちゃんを出産予定のお母さんへ:厚生労働省
造血幹細胞移植情報サービス さい帯バンクについて:日本赤十字社
【赤ちゃんからもらうプラセンタ】
プラセンタは古代ギリシャの医師ヒポクラテスが活用し、あのクレオパトラや楊貴妃も使用したとか……。医薬品としての基礎を作ったのは、旧ソ連邦の医学者フィラートフ(1933年)で、「プラセンタの組織療法」を行ったのが始まりのようです。前述の通り、中国では「紫河車」として古くから使われていましたが、日本では「血は穢れ」のイメージが強く、中国ほどは使用されていませんでした。プラセンタは、アミノ酸など多くの栄養成分を含んでいるため、婦人薬や美容薬など色々な効果があるとされています。
- プラセンタ(ヒト胎盤由来)注射薬を行った方は、献血ができないのをご存知でしたか。これは、ヒトの胎盤を使っているため、感染症のリスクはほぼないものの、ゼロではないためです。献血される方はご注意ください!
【体の中心へそ】
小さい頃、“雷様におへそをとられる”と言われ、お腹だけは冷やさないようにいつも布団をかけてもらっていましたね。お腹を冷やすと、下痢・便秘になりやすかったり、免疫力が落ちたり、自律神経が乱れたりと体調不良になりがちです。女性の場合は月経痛やPMS、生理不順になることもあります。現代、おへそを見せるファッションが流行中ですが、冷やさない工夫もしてくださいね!
臍(へそ)のごまは取った方がよいのか?取らない方がよいのか?悩むことありますよね。親からは、ごまを取るとお腹が痛くなるとよく注意されたものです。そもそもへそのごまの正体は、垢や脂質のかたまりです。ほこりなども一緒になって黒褐色の石のようになり、小豆からナッツくらいの大きさにまで成長する方もいます。硬い石でおへそに蓋をしているようなごまを、自分で無理やり取り除くのは危険です。へそあたりの皮膚は薄く、お腹に刺激を与えて腹痛が起きることがあります。硬いへそのごまで、皮膚を傷つけては感染のもとです。へそのお手入れをする時は、週に2~3回、入浴時に柔らかい布にせっけんをつけて、やさしく、くるくると洗うだけで十分です。へそ石をお持ちでにおいが強い方は、オリーブオイル等をつけて綿棒で取り除く方法もありますが、無理をせず皮膚科等の専門医に相談しましょう。
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